あけましておめでとうございます

新年あけましておめでとうございます。
院長の村上です。
年末年始で8日間休診し、1/6より診療を始めています。


ところで、歯科医院の朝はこんなことから始まります。

診療前に機械内部の残留水を排出させています。
診療台(デンタルユニット)の内部は、注水のための細いチューブがたくさんあり、一定量の水が残っています。
長時間、内部で残留水が放置されることにより水質が低下するため、使用前に排出しておく必要があるのです。
このことを 「フラッシング(flushing)」といいますが、 今回のように長い休みの後には、入念にフラッシングを行います。
ひとつの器具につき、1~3分程度、水を出し続けるので、 手動でやると結構時間がかかります。
残留水の汚染が言われるようになってからは、こうした機能を自動でやってくれる診療台が増えたので、とても助かっています。


歯科医院の水の汚染が広く知られるようになったのは、 読売新聞(2015年8月27日 夕刊 )でこのことが報道された頃ですが、歯科専門雑誌でも先月号で特集が組まれていました。

the Quintessence 2019;38(12):74-98

悲しいことですが、こうして特集されるということは、裏を返せば、依然として汚染対策の進んでいない医院が多いということです。

特集の中にもフラッシングに対しての記載がありました。
直接患者さんの目に触れることではありませんが、とても大切なことなのです。


当院の患者さんの健康を第一に考え、今年も頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願い致します!


銀座ルミナス歯科

03-6278-8920
東京都中央区銀座8-18-4
東銀座ビル2F
築地市場駅 徒歩2分
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口腔がん(4)

こんにちは、院長の村上です。

以前ここで取り上げさせていただいたタレントの堀ちえみさんですが、すっかり良くなられたようで本当に良かったです。
今回の病気に関連して、10月21日に書籍が出版されるということなので、予約しました。

サイン会は満員で申し込めませんでした。

残念。。。

まだ10月になったばかりですが、11月は「口腔がん撲滅キャンペーン月間」です。

今回、日本初、口腔がんの早期発見を啓発する第1回目の『レッド&ホワイトリボンキャンペーン2019』を11月に開催する運びとなりました。
米国では、毎年4月に開催される『レッド&ホワイトリボンキャンペーン』ですが、日本では、11月に、
・11月 8日:いい歯の日
・11月15日:口腔がん検診の日
の両方が設定されておりますので、その「11月」を『レッド&ホワイトリボンキャンペーン』月間とすることといたしました。

https://redandwhiteribbon.jp/

このキャンペーンにあわせ、堀ちえみさんからの応援メッセージが掲載されています。

https://redandwhiteribbon.jp/redandwhiteribbon2019/message/

さて、口腔がんの早期発見・早期治療のために口腔がん検診を受診しましょうと、当ブログで3回にわたりお伝えしてきました。
今回は、口腔がん検診の内容についてです。
検診自体は痛みを伴うようなものではなく、「視診」と「触診」により行います。
これは字のごとく、歯科医師が口腔内を、直接目で見て、触れて、がんがないかを確認する検診方法です。
口腔内は他の臓器と違い、発生した病変に対して直視・直達が可能な部位です。
従って口腔がんは、主に色、形態、大きさ、病変の数などを視診によって観察すること、機能の異常(舌が動きにくい、口唇がしびれるなど)や疼痛などの患者さんの訴えによってスクリーニングができるといえます。

しかし、見て、触ってわかるがんは、すでに進行がんで、何かしらの外科的手術を要するレベルに至っているケースも多いと思われます。
少しでも早期に口腔がんを発見するために、光学機器を用いた口腔がんのスクリーニング検査が 北米を中心として 行われるようになりました。
「口腔内蛍光観察装置」といわれるもので、肉眼では判断しづらい病変をスクリーニングすることができるようになりました。

当院では、「ORALOOK」という口腔内蛍光観察装置を使っています。

ORALOOK
ORALOOK

ORALOOKは410~420nmの波長の青い光を当て、 フィルターを介して口腔内を観察・撮影する装置 です。

口腔内の健康な組織は、もともと有している自家蛍光性により緑色に見えますが、異常なところは暗く見えます。

そもそも蛍光とは何でしょう?また、どうして病変の有無を観察できるのでしょうか?
蛍光とは、ある物体が、ある波長の光を吸収し、それとは違う波長の光を放出する物理的な性質のことを指します。
そして放出される波長は、吸収した光よりも低エネルギーであり、例えば、青色の光を吸収して緑色の光を発する、または緑色の光を吸収して赤色光を発する、ということが起こります。

細胞内には、FAD補酵素といった蛍光性をもつ分子が存在するほか、細胞外にもコラーゲンのような蛍光性をもつ分子が存在するので、正常な組織というのは、ある波長の光を吸収し、別の波長を発する蛍光性を有しています。
がん細胞においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため、蛍光性が低下します。
また、がんの浸潤によりコラーゲンの構造が破壊されても蛍光性は低下します。

口腔内蛍光観察装置は、このような正常組織のもともと持つ蛍光性と炎症組織やがん化した組織で失われる蛍光性の差を観察し、病変を描出できる装置です。

T. Morikawa, A. Kozakai, A. Kosugi, H. Bessho, T. Shibahara,
Image processing analysis of oral cancer, oral potentially malignant disorders, and other oral diseases using optical instruments,
International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery,
2019,

口腔内蛍光観察装置は、補助的診断機器として使用することが原則であり、従来の口腔粘膜検査での異常所見を覆すべきものではありませんが、当院でのがん検診では欠かせないものになっています。


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口腔がん(3)

みなさま、こんにちは。院長の村上です。
前回、口腔がんの早期発見・早期治療のためにも「口腔がん検診」の受診が大切ですとお話しました。
検診(スクリーニング)とは、疾病前の状態または疾病に罹患していないと思われる人からふるい分けをして選び出すことです。
がん検診には、ある集団を対象とした「集団(対策型)検診」と個人を対象とした「個別(任意型)検診」があります。
「対策型検診」は、高い罹患率を有する五大がん、つまり、胃、大腸、子宮、乳房、肺のがんに対して実施されています。
口腔がんのような罹患率の低いがんではどうでしょうか?
口腔がんの場合は、大規模な集団検診よりも歯科診療所での個別検診のほうが有効性が高いとされています。
ただ、行政が主体となって口腔がん検診を実施している割合はまだ低いようで、厚労省のホームページに載っている「平成30年度 市区町村におけるがん検診の実施状況調査」の資料によると、1,736市区町村のうち口腔がん検診を行っているのは、71市区町村にとどまり、その割合は4.1%程度です。
「口腔がん」は「概ね罹患率(発生率)人口 10 万人当たり6例未満」の「希少がん」に分類されているので、行政が主体となることはなかなか難しいのでしょう。
一方で、歯科医師会が中心となって熱心に取り組まれている自治体もあります。
例えば千葉県歯科医師会のホームページには、

といった口腔がんの予防・啓発を促すわかりやすいパンフレットが載っています。
当院でも口腔がんの早期発見につながるよう「口腔がん検診」に積極的に取り組んでいますので、お問い合わせください。


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口腔がん(2)

みなさま、こんにちは。院長の村上です。
みなさんは、このシンボルマークを見たことがありますか?

乳がん検診の早期受診を啓発するシンボルとして「ピンクリボン」というものがありますが、こちらは「レッド&ホワイトリボン」といって、口腔がんに対する正しい知識を世に浸透させ、口腔がんの早期発見と検診の受診を促進させる目的として米国でも広まっているシンボルです。
日本では東京都玉川歯科医師会を中心に、口腔がんの撲滅運動に賛同する歯科医院やドクターがこの赤と白のリボンを掲げています。
口腔がんと判別するうえでひとつの目印となるのが炎症ですが、そのなかでも白い部分と赤い部分が混在する炎症は特に注意が必要とされ、炎症部分が隆起しているものや、しこりのような硬さのあるものは医師の診察が必要とされています。
そのような目印の一つとして認識してもらうためにも、赤と白のリボンになったとのことです。
さて前回、口腔がんの死亡率は高く、日本では、他の先進国に比べ、口腔がんで亡くなる方が、異常な速度で年々増えていることをお伝えしました。
がんの進行度は第Ⅰ期からⅣ期の4段階に分けられます。
通常、第Ⅰ期・Ⅱ期を「早期がん」、第Ⅲ期・Ⅳ期を「進行がん」と呼び、原発腫瘍の大きさ、所属リンパ節転移、遠隔転移の三要素で病期が決まります。
口の中は他の臓器と比べ、視診・触診が容易であるにもかかわらず、「進行がん」も多く見られます。
もちろん死亡率は「進行がん」ほど高くなります。
早期発見できれば、それだけ治癒率は高まりますが、口内炎などの粘膜疾患、歯肉がんの場合、虫歯による痛みが原因ではないかといった思い込みや勘違いによって見逃される可能性があり、これが、死亡率が下がらない要因の1つとなっています。
口腔がんの治療法には手術・放射線・抗癌剤の3つがあります。
手術になれば、舌・顎・頬の一部、またはその大部分を切除せざるを得ないこともあります。
その結果、口の機能に大きな障害を持つことになり、治療後のQOL(quality of life:生活の質)に大きな影響を与えかねません。
がんに限らず、どのような疾患も、やはり「早期発見・早期治療」が大切です。
欧米では口腔がんの早期発見・早期治療を国民に呼びかけ、取り組んだことで、死亡率を大幅に減少させました。
日本では、行政が主体となっている「口腔がん検診」が、全国数十か所で実施されています。
当医院のある中央区では実施されていないようですが、お隣の港区では実施されています。

港区ホームページ

こうした行政のサービスを利用してもいいと思います。
ぜひ、年に一度は、「口腔がん検診」を受診しましょう。


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口腔がん(1)

こんにちは。
院長の村上です。
今月は水泳の池江璃花子さん、タレントの堀ちえみさんと、お二人のがんの報告が続き、とてもびっくりしました。
歯科医として、また、「スチュワーデス物語」をリアルタイムにテレビで観ていた者として、堀ちえみさんの舌がんの報告は特にショッキングでした。

口腔がんは口の中に発生するがんで、歯以外のどこにでも発生する可能性があります。
舌がん、歯肉(歯ぐき)がん、口腔底(舌の下)がん、頬粘膜がん、口蓋がん、口唇がんがあり、そのうち日本人に一番多いのが舌がんです。

口腔がんの好発部位
Report of Head and Neck Cancer Registry of Japan Clinical Statistics of Registered Patients, 2015

ただ、一般の方には、「口腔がん」という病名自体はあまりなじみのないものではないでしょうか?
現在、日本では2人に1人ががんにかかり、3人に1人ががんで亡くなっています。
口腔がんの占める割合は全体からすれば約1~3%と低い数値ではありますが、日本では毎年約7,000人が口腔がん(咽頭含む)で亡くなられています。

順位 部位 割合(%)
1 大腸 14.7%
2 13.1%
3 12.7%
4 乳房 8.9%
5 前立腺 8.5%
6 肝臓 4.1%
7 膵臓 3.9%
8 悪性リンパ腫 3.1%
9 腎臓・尿路 3.0%
10 皮膚 2.8%
11 子宮 2.8%
12 胆嚢・胆管 2.4%
13 口腔・咽頭 2.2%
14 食道 2.2%
15 膀胱 2.1%
16 甲状腺 1.9%
17 白血病 1.4%
18 卵巣 1.0%
19 多発性骨髄腫 0.8%
20 脳・中枢神経系 0.5%
21 喉頭 0.5%

がんの統計 ’17

口腔がんはがんの中では少ないのですが、残念なことに年々異常なスピードで増加しており、気を付けなければなりません。

口腔・咽頭がんの罹患の推移
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

気を付けなければいけない理由の一つとして、口腔がんの死亡率が比較的高いことがあげられます。

順位 部位 死亡率(%)
1 膵臓 92.3%
2 胆嚢・胆管 77.5%
3 68.1%
4 肝臓 67.4%
5 脳・中枢神経系 64.5%
6 多発性骨髄腫 63.6%
7 食道 62.8%
8 白血病 60.8%
9 卵巣 42.0%
10 口腔・咽頭 39.8%
11 35.4%
12 悪性リンパ腫 34.5%
13 腎臓など 30.9%
14 直腸 29.9%
15 大腸 28.9%
16 結腸 28.4%
17 子宮頚部 26.6%
18 膀胱 23.9%
19 子宮 23.1%
20 喉頭 21.3%
21 子宮体部 18.9%
22 乳房 8.9%
23 皮膚 7.6%
24 甲状腺 6.3%
25 前立腺 2.5%

日本での部位別5年死亡率
がんの統計 2018年がん情報サービス

口の中は扁平上皮細胞で覆われています。
なので、口の中に発生するがんは、組織学的にほとんどが扁平上皮癌です。
同じ扁平上皮癌である子宮頚部のがんと死亡者を比較すると、子宮頚部がんが、がん検診やワクチンの普及により微増であるのに対し、口腔・咽頭がんの死亡者数は上昇し続けています。

口腔・咽頭と子宮頚部の死亡者の比較
国立がん研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」

口腔がんもやはり「早期発見・早期治療」が重要なのは他のがんと一緒です。
そして、身体の内部にある臓器にできる他のがんに比べ、口腔がんの視診・触診は容易です。
早期発見のために「口腔がん検診」がとても大切なのですが、次回はこれについて書きたいと思います。

最後になりますが、お二人の一日も早い回復を心から願っています。


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