口腔がん(4)

こんにちは、院長の村上です。

以前ここで取り上げさせていただいたタレントの堀ちえみさんですが、すっかり良くなられたようで本当に良かったです。
今回の病気に関連して、10月21日に書籍が出版されるということなので、予約しました。

サイン会は満員で申し込めませんでした。

残念。。。

まだ10月になったばかりですが、11月は「口腔がん撲滅キャンペーン月間」です。

今回、日本初、口腔がんの早期発見を啓発する第1回目の『レッド&ホワイトリボンキャンペーン2019』を11月に開催する運びとなりました。
米国では、毎年4月に開催される『レッド&ホワイトリボンキャンペーン』ですが、日本では、11月に、
・11月 8日:いい歯の日
・11月15日:口腔がん検診の日
の両方が設定されておりますので、その「11月」を『レッド&ホワイトリボンキャンペーン』月間とすることといたしました。

https://redandwhiteribbon.jp/

このキャンペーンにあわせ、堀ちえみさんからの応援メッセージが掲載されています。

https://redandwhiteribbon.jp/redandwhiteribbon2019/message/

さて、口腔がんの早期発見・早期治療のために口腔がん検診を受診しましょうと、当ブログで3回にわたりお伝えしてきました。
今回は、口腔がん検診の内容についてです。
検診自体は痛みを伴うようなものではなく、「視診」と「触診」により行います。
これは字のごとく、歯科医師が口腔内を、直接目で見て、触れて、がんがないかを確認する検診方法です。
口腔内は他の臓器と違い、発生した病変に対して直視・直達が可能な部位です。
従って口腔がんは、主に色、形態、大きさ、病変の数などを視診によって観察すること、機能の異常(舌が動きにくい、口唇がしびれるなど)や疼痛などの患者さんの訴えによってスクリーニングができるといえます。

しかし、見て、触ってわかるがんは、すでに進行がんで、何かしらの外科的手術を要するレベルに至っているケースも多いと思われます。
少しでも早期に口腔がんを発見するために、光学機器を用いた口腔がんのスクリーニング検査が 北米を中心として 行われるようになりました。
「口腔内蛍光観察装置」といわれるもので、肉眼では判断しづらい病変をスクリーニングすることができるようになりました。

当院では、「ORALOOK」という口腔内蛍光観察装置を使っています。

ORALOOK
ORALOOK

ORALOOKは410~420nmの波長の青い光を当て、 フィルターを介して口腔内を観察・撮影する装置 です。

口腔内の健康な組織は、もともと有している自家蛍光性により緑色に見えますが、異常なところは暗く見えます。

そもそも蛍光とは何でしょう?また、どうして病変の有無を観察できるのでしょうか?
蛍光とは、ある物体が、ある波長の光を吸収し、それとは違う波長の光を放出する物理的な性質のことを指します。
そして放出される波長は、吸収した光よりも低エネルギーであり、例えば、青色の光を吸収して緑色の光を発する、または緑色の光を吸収して赤色光を発する、ということが起こります。

細胞内には、FAD補酵素といった蛍光性をもつ分子が存在するほか、細胞外にもコラーゲンのような蛍光性をもつ分子が存在するので、正常な組織というのは、ある波長の光を吸収し、別の波長を発する蛍光性を有しています。
がん細胞においては、細胞の代謝が活性化しFAD補酵素が減少するため、蛍光性が低下します。
また、がんの浸潤によりコラーゲンの構造が破壊されても蛍光性は低下します。

口腔内蛍光観察装置は、このような正常組織のもともと持つ蛍光性と炎症組織やがん化した組織で失われる蛍光性の差を観察し、病変を描出できる装置です。

T. Morikawa, A. Kozakai, A. Kosugi, H. Bessho, T. Shibahara,
Image processing analysis of oral cancer, oral potentially malignant disorders, and other oral diseases using optical instruments,
International Journal of Oral and Maxillofacial Surgery,
2019,

口腔内蛍光観察装置は、補助的診断機器として使用することが原則であり、従来の口腔粘膜検査での異常所見を覆すべきものではありませんが、当院でのがん検診では欠かせないものになっています。


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