当院のこだわり
Commitment
Commitment
どうして、歯並びを治す必要があるのでしょうか?
多くの方は見た目をきれいにしたいと願って矯正治療を受けられると思います。
しかし、見た目がきれいになることと、健康的にしっかりかめるようになることとは、必ずしも一致しません。
私たちは矯正治療の目的を「見た目が美しくなること」と「かみ合わせがよくなること」の2つであると考え、治療に取り組んでいます。
Malocclusion
歯にガタガタもなく、きれいな歯並びをしているのに「良くかめない」、「顎が痛い」、「顔が曲がっている」などの症状に悩んでいる方が多くいらっしゃいます。
良いかみ合わせとはいったいどのようなかみ合わせなのでしょう?
私たちは、あごの動きを妨げることなく、また歯ぎしりのような大きな力がかかっても、歯や顎関節を壊してしまわないようなかみ合わせが「良いかみ合わせ」だと考えています。
そして「良いかみ合わせ」を作ることで自然な美しさが得られ、また健康な生活を送れるようになるのだと考えています。
かみ合わせのズレが どうして 起こったかを考え、咬合高径と咬合平面を垂直的にコントロールすることで、下顎が生理的な位置へ適応できるように促してあげること、これが当院で行う矯正治療の本質です。
Angle’s Classification
正常
出っ歯あるいは過蓋咬合
受け口、反対咬合
Edward Hartley Angle がこのような分類を提唱してからすでに100年以上が経過しています。
しかしながら現代の歯科矯正学は、これらの不正咬合が どうして 発現するのかという課題を未だ解明していません。
それゆえ、多くの不正咬合治療は対症療法に限定されているのが現実です。
当院ではこの Why? にこだわります。
矯正治療では歯が並びきらないということで対症療法的に、小臼歯の抜歯がしばしば行われます。
私たちは小臼歯が「かみ合わせの安定」にとても大切な歯であると考えており、できるだけ小臼歯を抜歯せずに治療できる治療方針を考えます。
かみ合わせ治療に必要な咬合高径と咬合平面の垂直的コントロールは、第一小臼歯を中心に行うと効果的です。
また、上顎第一小臼歯の斜面にあるリトルーシブガイダンスは、下顎を前方に位置付けるのに重要な役割を果たします。
Articular Compensation : 顎関節による代償
Ⅱ級骨格は、顎関節による代償反応により下顎を前方に誘導し、機能を確立している。
第一小臼歯は下顎の誘導を担っている歯で、顎関節から最も遠い臼歯で下顎位を決定するのに有効な歯であり、後方誘導路を与えるための歯でもある。
成長・発達期における不正咬合の早期治療(佐藤 貞雄 )
医科における治療では多くの場合、血液、尿、画像診査などの多くの検査が行われ、その結果を基に診断が下されるのに対し、歯科においては、診療を進めるにあたり、主訴のみの解決を行うためにわずかな資料を基に診断が下されることも少なくありません。
診断が異なれば、最終的に目指すゴールも変わってきてしまいます。
歯科矯正学における診断とは、”症状の本態の判断や、その特徴の鑑別、分類、さらに不正部位・原因の把握、治療目標の設定、治療方針・方法の選定、予後の推定を含む一連の手続き”とされています。
的確な診断を行うためには、その症例に関する現症の実態ならびに原因と考えられる要素を正確に把握することが重要です。
この目的のために、状態を客観的、計量的に評価するための資料を採取し、適切な分析と解釈をすることによって、症状の本態を把握し、的確な治療計画を決定します。
この一連の手続きが診断で、診査(調査)、検査(診断用資料採取)、症例分析、総合診断の順序で進めます。
Diagnosis in Dentistry
Diagnosis, the process by which one recognizes or identifies any condition that may be a departure from normal
Current Clinical Dental Terminology(Boacher, 1974)
治療に先立ち、総合診断のために必要な診査、記録を行います。
主な診査項目は次のようになります。
患者さんの訴えをより客観的にとらえ、その後の変化を比較する目的で、健康調査票に記入していただく簡単なアンケート形式で医療面接を行います。
顔を直接観察して、形態的特徴を把握すると同時に、表情、筋の緊張度、機能時の状態など、生体でなければ観察できない事項について観察します。
また、形態的特徴を正確に評価するために、顔面写真を撮影します。
顔面写真は、咬合の状態と顔や口唇との関係を調べ顔面の特徴を記録するとともに、客観的、計量的評価のための資料とします。
咬合運動時の機能的異常、軟組織の状態などは生体の直接観察からでなければ把握できない不可欠な診査事項です。
ただし直接観察だけでは正確な観察が困難な場合も多く、また形態的特徴を計量的に評価することも困難です。
これらを補うため以下の資料を採取します。
歯列および咬合の状態を記録します。
通常は正面および左右側面と、開口時の上下歯列弓咬合面を用いますが、その他、必要に応じて各種の咬合状態、舌および小帯の状態などを記録します。
計測を行うことはありませんが、口腔内の状態、特に歯、歯肉の色や汚れ、充填物の種類などは観察記録としても重要です。
形態的な検査資料の中で、口腔模型は実物大であること、立体的であることから、現症の把握に最適な資料です。
上顎および下顎を単独に観察できるうえ、計測も可能です。
また、あらゆる角度から観察が可能なため、咬合状態を舌側から確認できるなど、直接口腔内を診査するより正確な観察ができます。
そして、初診から治療の各ステージで採得した口腔模型を比較、検討をすることができます。
フェイスボウを使用して咬合器に付着することにより、頭蓋と歯列の関係が咬合器上に再現され、歯軸の傾きや咬合平面を評価するのに用います。
エックス線撮影はデンタルX線写真(10枚法)、パノラマX線写真(パントモ型;オルソパントモグラム)に加え、頭部X線規格写真(セファロレントゲン)、顎関節X線写真、CTを撮影します。
セファロレントゲンの分析は、咬合高径と咬合平面を垂直的にコントロールする上で欠かせない検査です。
矯正治療は口の中に見えている歯(歯冠)を動かしているようで、実は骨の中にある歯根を動かす治療です。
インビザライン矯正では、クリンチェックというソフトウェアを使って治療計画を立てますが、最新のクリンチェックはCTの歯根データを利用できるようになり、CTの必要性がますます高まっています。
矯正臨床における機能的検査は、筋活動に伴う機能的不正要因の有無を判定するための検査であり、歯列模型やX線規格写真などによる形態的検査と同様不可欠な検査です。
ここでいう“機能”とは上下顎および歯列弓をとりまく咀嚼筋、頬・口輪・舌筋などによる筋活動をさし、この結果、嚥下・咀嚼・発音・顔の表情などをつくります。
健常人では、各々の筋活動の間に緻密な連携プレーがみられ、かつ全体の調和が保たれており、この調和が乱れると、不正咬合、顎関節症、そして後もどりなどの原因となります。
検査は診断・治療に先立ち行われるばかりでなく、治療途中、治療後にも繰り返し行われ、術前との比較、治療効果の判定、治療進行上の指針とされます。
機能検査として、CADIAX による顎機能検査およびブラックスチェッカーによる歯ぎしりの検査を行います。
顎機能検査は咬合や顎関節の問題を把握するためには不可欠なものです。
この検査により得られたデータから顎機能障害の種類や程度を推測することができ、正常な顎機能に戻すための方針を立案することができます。
コンピュータを用いたアキシオグラフ法による下顎運動の測定により、様々な分析が可能になりました。
測定には、CADIAX という機器を使います。
Brux checker (ブラックスチェッカー)という装置を作製し、睡眠時の歯ぎしりの状態を検査します。
ブラックスチェッカーは、厚さ 0.1mm のポリビニルフィルム製シートの片面に食用色素をベースとした為害性のない特殊な塗装を施しています。
この赤いシートを歯型に圧接成型し、歯列に合わせて切り抜きます。
ブラックスチェッカーを就寝時に装着しておくと、ブラキシズム等で強い咬合力が加わった所だけが剥離し、その部位や歯ぎしりのパターンが一目で分かるようにできています。
歯を動かすための矯正の装置にはいろいろな種類ががあります。
従来の金属製、目立ちにくい白いもの、歯の裏側につけるもの、マウスピース型などさまざまな種類があります。
しかし、矯正治療において最も大切なのは、どんな装置を使うかではなく、歯をどこに動かすか、つまり、診断と治療計画です。
同じ装置を使っても診断、治療計画が異なれば、治療結果は大きく変わるとともに、診断と治療計画に適した装置選びが大切になります。
佐藤貞夫先生は、不正咬合の原因論としてヒトの進化の過程による直立・二足歩行に端を発する頭蓋顔面骨格の変化に注目し、その成長方向は、水平的よりむしろ垂直的方向であるとしました。
この概念をもとに、各不正咬合の根本的な原因として、咬合高径と咬合平面のバランスのくずれをあげています。
私たちは、従来の一本のワイヤーに歯をくくりつけての水平的な歯の移動による矯正治療とは異なり、咬合高径と咬合平面の適正化にあたり、MEAW(Multiloop Edgewise Arch Wire)を用いて各歯を三次元的に移動させています。